私たちの身近にある川。どの川も同じようでいて、それぞれ特徴があります。
この記事では、日本の川の特徴と、代表的な川を地域ごとにわけて紹介しています。
日本の川について知りたい
日本の川の数
さてここで質問です。
日本には川がいくつあるでしょう?
えーっ、いくつだろう?まったく想像がつきません!
正解は約3万5千です。
たくさんある川のうち、国が管理している川を「一級水系」といいます。日本には一級水系が109あります。
日本の川の特徴
日本の川の特徴は、「流れが早くて距離が短い」ことです。
細長い日本列島は、山脈が背骨のように中央を走っています。その山脈を水源とする川が、海に向かって急勾配で流れるため、スピードが早くなってしまうのです。
たとえば、日本を代表する信濃川(千曲川)の、中流付近の流れの速さはこれぐらいです。
そしてこちらは、東南アジアのメコン川をカヌーで旅している方が撮影した動画です。
いかがでしょうか?信濃川と比べると、メコン川は川というより湖に近く感じられますよね。
北海道の川
それでははじめに、北海道の代表的な一級水系の川をご紹介していきます。北海道は、本州と比べると平野が広くなだらかで、川の流れも比較的ゆったりしています。
十勝川(とかちがわ)156 km
十勝川は、サケが戻ってくる川のひとつとして、有名な川です。十勝川では、毎年6万尾ほどの稚魚を川に放流しています。
サケの稚魚が成長して、放流された川に帰ってくる割合は、放流した数の3から4パーセント程度です。
今私たちが食べているほとんどのサケは、野生の魚ではなく、人工ふ化されたものです。稚魚をある程度まで育てて放流すると、3〜5年後には卵を産むために、放された川に帰ってきます。
石狩川(いしかりがわ) 268 km
北海道で一番長い石狩川は、以前は日本でも1番長い川でした。
洪水を防ぐため、曲がりくねったところを直線にして、全体で100キロメートルほど短くしました。そのため石狩川は、今では全国で3位の長さになっています。
また石狩川は、大昔は太平洋側にも河口がありました。火山の大噴火で川がせき止められ、日本海側のみに流れるようになりました。
石狩川流域にある石狩平野は、北海道一のお米の生産地だよね。
北海道で今一番多く作られているのは、もっちりとした食感の「ななつぼし」という品種のお米です。
東北地方の川
北上川(きたかみがわ)249 km
北上川は、岩手県から宮城県まで縦に一直線に流れている、ゆるやかな勾配の川です。
北上川からは昔は砂金がとれて、その金は平泉の「中尊寺金色堂」や、奈良の「東大寺」にも使われたと言われています。
最上川(もがみがわ)229 km
最上川は、山形県の中央を流れる川で、日本の三大急流の一つです。
松尾芭蕉の句に、五月雨をあつめて早し最上川という、最上川の急流の様子をよんだ句があります。
「最上峡」という最上川沿いにある峡谷の景勝地を眺めながら、船で川を下る「芭蕉ライン舟下り」が人気です。
最上川の流水面積は、山形県の8割近くを占めています。川の流域に広がる庄内平野は、はえぬきというブランド米の生産地です。
はえぬきは、冷めても美味しい「セブンイレブンのおにぎり」に使われているお米です。
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岩木川(いわきがわ)102 km
岩木川は、白神山地を水源にして、本州の最北端の青森県に流れている川です。
岩木川はしじみの産地である、十三湖に流れ出ています。また青森のりんごは主に、岩木川流域の津軽平野で栽培されています。
阿武隈川(あぶくまがわ)239 km
阿武隈川は福島県から宮城県に流れている、東北で2番目に大きな川です。水害が多く、大掛かりな整備が実施されています。
阿武隈川をさかのぼる鮭(さけ)を使った郷土料理に、「はらこめし」というものがあります。はらこめしとは、鮭といくらがのった炊き込みご飯です。
いくらのことを「はらこ」というのだそうです。
北信越地方の川
日本には、大小あわせて3000近くのダムがあります。北信越地方にも多くのダムがあり、豊富な水力で電源資源として活用されています。
信濃川(しなのがわ)367 km
日本で一番長い信濃川。上流の長野県では千曲川と呼ばれています。
日本の川は上流と下流で名前が変わります。一般に下流部(河口)の名前がその川の総称となります。
信濃川(千曲川)の水源は、レタスの産地で有名な川上村です。
千曲川と合流する犀川(さいがわ)や、信濃川の支流である清津川には大きな発電所がつくられていて、首都圏に電力が送られています。
日本一長い信濃川は、ラフティングツアーが楽しめる人気スポットでもあります。
阿賀野川(あがのがわ)210 km
阿賀野川は、福島県の猪苗代湖と尾瀬を水源として、新潟県に流れています。阿武隈川と上流が同じ福島県です。
阿賀野川(あがのがわ)と阿武隈川(あぶくまがわ)、名前も似ていて一瞬どちらか迷いますが、阿武隈川は福島県から宮城県の方へ流れている川です。
阿賀野川の支流である只見川には、巨大なダムが作られています。
黒部川(くろべがわ)85 km
黒四ダムが有名です。富山県の立山から長野県の大町まで立山黒部アルペンルートという、片道がおよそ6時間かかる観光コースが用意されています。黒部峡谷の景観が楽しめます。
神通川(じんずうがわ)120 km
岐阜県から富山県に流れていて水力発電所がつくられています。この発電所で作られた電気は富山県内に供給されています。
神通川は昔から、サケマスのなれずしが有名でした。
常願寺川(じょうがんじがわ)56 km
日本の三大急流の中に含まれていませんが、実は常願寺川は流れが一番急な川なんだそうです。日本有数の暴れ川である常願寺川を、一度見てみたいです。
関東地方の川
関東地方には日本の人口の3分の1の人達が暮らしています。
関東地方に流れている川は、人々の生活への影響度が高いため、水害防止だけでなく経済や軍事目的のために、川の大掛かりな改修工事が行われてきました。
利根川(とねがわ)322 km
越後山脈を源流とする利根川は、流水面積が16840キロ平方メートルで日本一です。流水面積というのは、降った雨がその川に流れ込む範囲全体を指します。
元は東京湾に流れ込んでいた利根川の河口を、千葉県の銚子の方角へ変える大掛かりな引っ越し工事を、江戸幕府が64年かけて行いました。
上の写真は、千葉県の川の駅「水の郷さわら」に車を停めて、利根川沿いに白鳥が泳ぐ風景を撮ったものです。
荒川(あらかわ)173 km
荒川は名前のとおり、荒れくるう洪水が多い川でした。もとは利根川の支流でしたが、江戸時代の工事で江戸川と利根川を分けて今の形になりました。
荒川上流にある、長瀞峡谷のライン下りも人気ですね。
那珂川(なかがわ)150 km
那珂川は、水戸市を除いて流域に大きな都市がなく、自然が残る関東一の清流です。
茨城県はあゆの漁獲量が全国2位です。6月になると那珂川でアユ漁が解禁されて、鮎のつかみどりに、たくさんの人が訪れています。
相模川(さがみがわ)109 km
相模原の水源は、富士五湖のひとつである山中湖です。上流で「桂川」、中流部で「相模川」、河口付近で「馬入川」と、それぞれ名前がかわります。
多摩川(たまがわ)138 km
多摩川がそそぐ東京湾は江戸前の魚の宝庫でしたが、多摩川や東京湾が汚れるにつれて、魚の数は減少しました。
最近は下水道が整備され、天然のアユが多摩川を産卵のために戻ってくるようになりました。
東海地方の川
今のように道路や鉄道がない時代は、人々は富士川など、川の交通手段を利用していました。
上流のほうからは下流へお米や木材を、下流の方からは上流へ魚や塩を運んでいました。上流へは川の流れに逆らって船を漕いだり、また舟を川岸から人力でひっぱって運んでいたそうです。
富士川(ふじがわ)128 km
日本三大急流のひとつである富士川は、日本のほぼ中央を流れています。富士川も昔から洪水の被害がおおく、武田信玄が治水のため築いた信玄堤(しんげんつつみ)が有名です。
信玄堤とは、堤防にあえて隙間をある程度の間隔で設けて、そこから水を流すしくみのことです。
流れた水が、もう一段下流につくられた隙間から川に戻ってくるという、画期的な構造になっていました。
大井川(おおいがわ)168 km
江戸時代には防衛のため、わざと橋をかけなかった大井川。誰であっても、人足たちの力で川を渡らなければなりませんでした。
明治時代になってから、やっと橋をかけることができるようになりました。
天竜川(てんりゅうがわ)213 km
天竜川も、洪水が多い川でした。金原明善(きんばらめいぜん)という、明治時代の実業家が、天竜川の上流の山々に木がないため、洪水がおこることに気づき、スギやヒノキを植えはじめました。
そのため天竜川流域に林業が根づき、その木材を使って、浜松市のピアノの生産がはじまったそうです。
木曽三川(きそさんせん)227 km
木曽川(きそがわ)と、長良川(ながらがわ)、揖斐川(いびがわ)の三つの川は、木曽川水系の木曽三川(きそさんせん)という総称で呼ばれています。
水源は別々ですが、3つの川すべて伊勢湾にそそいでいます。
長良川では、鵜飼が1300年以上も続いています。鵜飼いとは、鵜匠とよばれる人が、鵜という水鳥を使って、鮎をとる漁法です。
近畿地方の川
古都奈良や京都、大阪など日本の歴史の中心地にある近畿地方の川。今から1600年ほど前、日本で一番最初に治水工事を行なった淀川をはじめ、歴史の舞台となる川がたくさんあります。
淀川(よどがわ)75 km
淀川の水源地は、日本一大きな湖である琵琶湖です。
淀川は琵琶湖から流れ出る時には「瀬田川(せたがわ)」という名前です。そして京都に入ってからは「宇田川(うだがわ)」、大阪府は「淀川(よどがわ)」に変わります。
建材を川で運び込むため、古代、都が作られる場所は、淀川に近い場所が選ばれていました。
紀ノ川(きのかわ)136 km
紀ノ川の上流は奈良県の吉野川、和歌山県に入ってから紀ノ川と呼ばれています。
上流部は杉の産地で、大阪城や京都の多くの神社、仏閣の木材もここの木が多く使われました。
安倍川(あべかわ)51 km
安倍川は、静岡県と山梨県の境にある日本三大崩れのひとつ、大谷嶺(おおやれい)が水源で、駿河湾の河口に向かって流れています。
2000mの高さの水源地から、51kmの距離で、一気に海抜0メートルの河口まで流れている、急流の川です。
中国地方の川
中国地方には鳥取砂丘や帝釈峡など、川の流域に自然景観が美しい景勝地が多くみられます。
千代川(ちよがわ)52 km
千代田川の水源は、鳥取県の沖の山です。河口には鳥取砂丘があります。
江の川(ごうのかわ)194 km
江の川の水源は、広島県と島根県の境にある阿佐山(あさやま)です。広島県では、可愛川(えのかわ)という名前に変わります。
途中の三次盆地は、川から立ち上る霧の海で、山が島のように見えることで有名です。
江の川の流域には、石見銀山があります。また鉄の生産も盛んで、鉄の運搬にも江の川が利用されました。
高梁川(たかはしがわ)111 km
水源は岡山県と鳥取県の境にある花見山で、瀬戸内海に流れ込んでいます。清流で知られ、上流には鍾乳洞や、国の特別名勝の帝釈峡があることで知られています。
太田川(おおたがわ)103 km
広島、島根、山口の境にある冠山が、太田川の水源です。支流にある三段峡が有名で、河口付近には広島の原爆ドームがあります。
四国地方の川
四国地方の川の流域には山地が多く、水質が綺麗な川が多い印象です。ラフティングや釣り、カヌーなどの川遊びが楽しめます。
四万十川(しまんとがわ)196 km
四万十川の河口付近は、港川(わたりがわ)と呼ばれています。洪水のときには、川の中に沈むように作られた沈下橋が、四万十川に47本かかっています。
高知県の不入山を水源とする四万十川は、流域のほとんどが山地です。四万十川は、水質が綺麗ということでも知られていて、トンボの世界保護区が作られたりなど、川の整備作業もされています。
吉野川(よしのがわ)194 km
高知県と愛媛県の県境にある瓶ヶ森(かめがもり)に、水源があります。落人伝説の里があり、付近にはかずら橋がかけられています。
仁淀川(によどがわ)124 km
四国で一番高い山である石鎚山に、水源があります。
仁淀川の流域は、降水量が多く、冬には雪が降りスキーが出来ます。仁淀川は、水質ランキングで日本1位を連続して獲得する水の綺麗な川です。
九州と沖縄の川
筑後川(ちくごがわ)143 km
大分県のくじゅう連山に水源があり、熊本県や福岡県、佐賀県を流れる九州で一番大きな川です。筑後川の河口は、有明海です。
有明海は、日本で一番干満の差が大きい遠浅の海岸です。
大淀川(おおよどがわ)107 km
大淀川の水源は、鹿児島県の金御岳です。宮崎県最大の川で、県の90%の上下水道が大淀川の水を利用しています。九州一の水力発電所があります。
球磨川(くまがわ)115 km
熊本県の国見岳近くが水源で、八代海に流れています。球磨川は富士川、最上川と並んで日本三急流のひとつです。
九州はカッパ伝説が多く、球磨川の川岸にも「河童渡来の碑」がたてられています。
川内川(せんだいがわ)137 km
熊本県の白髪岳が水源で、宮崎県を通り、鹿児島県の東シナ海に流れています。
川内川の流域には、菱刈鉱山があり、ここでは世界最高品質の金が現在でも採鉱されています。
浦内川(うらうちがわ) 17 km
沖縄の西表島の中央山地が水源です。沖縄県内では、この浦内川が一番大きい川です。河口部は日本最大のマングローブの群生地です。
西表島は、生きた化石と言われる「イリオモテヤマネコ」が住んでいます。
日本の有名な川とその特徴まとめ
いかがでしたか?一見同じように見える川も、調べていくとさまざまな違いがありますね。
参考にしていただけると幸いです。